本読みは祈らない

好きな本のことを気ままに書いてます。

【お勧め小説】『豆の上で眠る』 新潮文庫

拭いきれない違和感が残る読後感がエグイ!

【あらすじ】(公式引用

小学校一年生の時、結衣子(ゆいこ)の二歳上の姉・万佑子(まゆこ)が失踪した。
スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。
必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。
喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今も微(かす)かな違和感を抱き続けている。

――お姉ちゃん、あなたは本物なの? 

辿り着いた真実に足元から頽(くずお)れる衝撃の姉妹ミステリー。


【魅力】

豆の上で眠る――このタイトルが本の全てを表している!

2年の時を経て帰ってきた姉。
だけど姉が本当は本物の姉じゃないのではないかという疑惑が常に付きまとう!

読んでて良い意味で気持ちわるい…。この気持ち悪さはどこか癖になります。

そして物語の後半、怒涛の展開で真実が明かされていく!

でも、明かされた真実は私には何も関係がありませんでした。
真実が明かされてなお、私の中の違和感は拭いきれませんでした!

この真実は本当のことを言っているのか?
果たしてこの正体が明かされた姉は本物なのか偽物なのか?

未だに私はこの違和感に囚われています。
そうです。結局私は最初から最後まで、そして読み終わった後まで、『豆の上で眠っていました』

なんとも言えぬ違和感が残り続けるイヤミス
多くの方にお勧め出来る作品ではありませんが、個人的には滅茶苦茶好きです!

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【お勧めラノベ】『賭博師は祈らない』電撃文庫

主人公とヒロインの歪な絆が堪らない!?
読み終わった後、余韻に浸ること間違いなしの物語!

【あらすじ】(公式引用

十八世紀末、ロンドン。
賭場での失敗から、手に余る大金を得てしまった若き賭博師ラザルスが、仕方なく購入させられた商品。
――それは、奴隷の少女だった。
喉を焼かれ声を失い、感情を失い、どんな扱いを受けようが決して逆らうことなく、主人の性的な欲求を満たすためだけに調教された少女リーラ。
そんなリーラを放り出すわけにもいかず、ラザルスは教育を施しながら彼女をメイドとして雇うことに。慣れない触れ合いに戸惑いながらも、二人は次第に想いを通わせていくが……。
やがて訪れるのは、二人を引き裂く悲劇。そして男は奴隷の少女を護るため、一世一代のギャンブルに挑む。

【魅力】

しっかり練られた中世ヨーロッパの世界観にしっかりとリアリティを感じられる!
さらには賭博のシーンで、毎回読み手の裏をかくような楽しさがあり、ページを捲る手が止まらない。読んでいて滅茶苦茶ワクワクする!
でも何よりも、この作品の魅力は

『主人公とメインヒロインの歪で最高の絆!!!』

主人と奴隷?
共犯者?
恋人?
夫婦?

いや、どれも正しくない!
私はこの関係性をちゃんと表現出来る言葉を知らないっ!
この歪で唯一無二の関係性にはあまりに尊さが詰まっている!

この関係を知りたい人はとりあえず読め!!!

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『わたしはあなたの涙になりたい』を語りたいだけ

めっちゃネタバレあります!!

ですので未読の方がこちらの記事を読む場合はご注意下さい。

こちらで書いていることはあくまで個人的な感想でしかありません。

何かを否定したりする意図は一切ありませんので悪しからず。

では本編へ。

 

『わたしはあなたの涙になりたい』が抱える二面性

『わたしはあなたの涙になりたい』はいわゆる難病モノの作品です。

しかし同時に難病モノのアンチテーゼでもあり、かなりメタ要素の強い作品でもあります。

今回はその後者の部分に関して触れることが多くなると思います。

まずこの作品には、このアンチテーゼとして触れるべきエピソードがいくつもあります。

 

東日本大震災の話

・義足の野球少年の話

・指を失ったピアニストの話

・いわゆる難病モノの話

 

これらに共通して言えるのは、誰かの悲劇や命を「物語」としていることです。

東日本大震災の話では哀れな被災者に同情を誘うような記事が物語になっており、義足の野球少年の話では脚を失った少年のサクセスストーリーを描き、指を失ったピアニストはネットで晒し上げられ憐れみの対象とさせられ、難病を患った少女はその命を愛を語る美談へと変えられています。

そしてこれらの「物語」が綴られる中、作中で不治の病を背負ったヒロインが叫びます。

私は誰かの「物語」になんてなりたくない!

私の命を「物語」として消費しないでくれ!!

――と。

個人的にはこれがこの物語の本質の1つだと思いました。

――東日本大震災の被災者も

――義足の野球少年も

――指を失い難病を患った少女も

みんな苦しみや絶望を分かったような顔で同情され、「物語の道具」とされてしまったのです。

そうです、この作品は

キャラの命や苦しみを「物語」とすることを嘆き、その「物語」を当たり前のように消費することへの怒りを書いた作品です!

少なくとも私はその一面を感じました。

大震災の被災者や障害者のサクセスストーリー。

そして小説で流行っている難病モノ。

これらに対しての作者の怒りを確かに感じる1冊でした。

 

そして一方で、この作品は「物語」を消費することを肯定もしています。

主人公の最後の方の場面で言う

「この物語で誰かが救われるなら、消費されたって良い」

「物語でしか救えないものもある」

これらがそれを表していると思います。

 

結局この作品は「物語」の消費を否定も肯定もしており、それらの選択を読者に委ねている1冊だと思いました。

そして肯定も否定もしているからこそ、この作品は

難病モノでもあり、難病モノへのアンチテーゼ

でもあるんだと思います。

少なくとも私は『わたしはあなたの涙になりたい』という作品にこのような2面性を感じました。

だからこそこの作品は

普通の難病モノと一線を画した傑作

と個人的には思っています

 

個人的な「物語」への考え方

「物語」を消費することに関して、私はかなり肯定派です。多少の諦めもあるうえでの肯定にはなりますが…笑。

やっぱり物語を消費することは仕方のないことだと思います。実際、やはり愛着あるキャラの命が失われる瞬間っていうのは涙が出てきますし、キャラが絶望したり苦悩したりするのは読んでて苦しくも作品に味が出て好きです。そして絶望や苦悩した先にあるハッピーエンド――いわゆる「美談」には心を動かされます!

確かにこれは物語を――キャラを消費しているのかもしれませんが、やはりその先にある楽しさや感動には抗えないですし、それらはちゃんと私の心に残るものになっています。勿論、時間と共に風化していってしまうのもまた事実ですが…笑

それでもやはり「物語」を消費することによって――それこそ『わたしはあなたの涙になりたい』を消費することによって、こんなブログを書こうと思えたりします。

ですので私は「物語」を消費することに対してかなり肯定派です。

 

ただ1つ、そんな肯定派な私でも肯定出来ない時があるんですよね。

それは

ャラが使い捨てにされてると感じた時です!

本当に個人的な感覚の話なのですが、たまにこういうのを感じる時ありませんか?

物語の都合上、主人公の過去に傷をつける必要があるからとりあえず恋してた女の子殺したり。

ゲームの話ですけど、メインのキャラのために他のルートを投げっぱなしにしたり。

こういうキャラを蔑ろにしてるのが許せないんですよね…。

キャラを殺すのは構わないけど、キャラに対してそれ相応の向き合い方をしろ!って思っちゃいます。「それ相応」は本当に個人的な感覚なんですけどね…笑

いわゆるこれが私が「物語」の消費を許せない時ですね。

どちらかと言うとキャラの消費を許せないって感じかも知れないですけど。

 

雑談

大体私の考えはこんな感じですね。

1つだけ言っておくと私は『わたしはあなたの涙になりたい』が大好きです!

本当に好きな作品だからこそ、こんな記事を書いてるのを知ってほしいですね。

ちなみに下記の記事が面白いです。(これ読めば私のブログなんて読まなくていいかもw)

note.com

 

後、この作品を難病モノとして考えるのも個人的には間違っていないと思います。それもまたこの作品の一面であることには間違いないですから。(何か言いたくなる気持ちも滅茶苦茶分かるけど…笑)

実際、星海社の編集部で議論された時には「普通の難病モノ」として議論されています。編集者でもそういう捉え方をするということです。(これも何か言いたくなる気持ちになりますが…笑)

こちらの「あまりにキレイな問題作に議論沸騰!」部分です

sai-zen-sen.jp

 

とりあえず『わたしはあなたの涙になりたい』は難病モノのアンチテーゼの要素もあるんだよ~ってお話でした。

少なくとも私はそういう意図があると感じ取りました。

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【お勧めラノベ】『主人公にはなれない僕らの妥協から始める恋人生活』オーバーラップ文庫

ヒロインとの毒のある会話劇とグッとくる物語が面白い。
妥協から付き合うことになった主人公とヒロインの青春ラブコメディ!

【あらすじ】(公式引用

「私じゃ、ダメ?」

『人生はつまるところ妥協』が信条で、自分を偽ってお調子者を演じる高校生・朝井秀侑は、親友の幼馴染で学校一の美人の奈良岡詩音に叶わない片想い中。
ある日、サブヒロインもいいところ、教室で孤高を貫く腐れ縁同級生・楠木乃菜と話をしていると、ふとした冗談から付き合う流れになってしまい――。
「……言ったからね。訂正はなしだから」
彼氏彼女が欲しかった二人は、お互いに妥協した上で恋人同士に!?
付き合うルールを決めて、夜通しメッセージのやりとりをしたり、家での勉強会やデートで可愛い一面を発見したり。
妥協から始まった恋人生活は意外と楽しい!?


【魅力】
主人公とヒロイン、妥協で付き合うことになった2人の会話劇が楽しい!
お互いに毒を吐き、妥協で始まった関係だからこその気を張らない会話劇が心地良い。
また物語が非常に良い!
過去にとある事を背負っていたヒロインを救う主人公のカッコ良さに惹かれた!
また、個人的には主人公と姉のお話が滅茶苦茶好き……!!
本当に良い家族愛を感じられたんだよね……

諦めるために妥協するんじゃない。
――“幸せ”になるために妥協するんだ。

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【お勧めラノベ】『イリヤの空、UFOの夏』電撃文庫

ラノベ史に刻まれる

”最高のボーイミーツガール”

【あらすじ】(公式引用

「6月24日は全世界的にUFOの日」

 新聞部部長・水前寺邦博の発言から浅羽直之の「UFOの夏」は始まった。当然のように夏休みはUFOが出るという裏山での張り込みに消費され、その最後の夜、浅羽はせめてもの想い出に学校のプールに忍び込んだ。驚いたことにプールには先客がいて、手に金属の球体を埋め込んだその少女は「伊里野可奈」と名乗った……。

 

【魅力】

秋山先生の書く独特な文章。このテンポ感と変わった比喩が癖になる!
そして巻が進むごとにどんどんと追い詰められていく展開。読んでいて苦しいのに、何故かどんどん読み進めてしまう!
そしてラストシーン。ここを語るのは野暮ですね。
どれほどの言葉を尽くしても、きっとこのシーンは伝わらない。

これを書けるのは、"天才・秋山瑞人"だけだ!!

あなたの心に一生癒えない傷と一緒に、ひと夏の最高の思い出を刻み込んでくれるでしょう。

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【お勧めラノベ】『砂の上の1DK』角川スニーカー文庫

歪んだ主人公と無垢な人外少女。
彼らの距離感と儚い雰囲気が素晴らしすぎる!

【あらすじ】(公式引用

人に宿った未知存在と青年スパイ、期限付きの逃亡生活が始まった。

研究施設への破壊工作に一般人が巻き込まれ――瀕死の彼女に取りつき治癒したのは、研究対象だった未知の細胞。
人に順応していくそれ=呼称・アルジャーノンが望んだのは、穏やかな、人らしい日常を送ることだった。

【魅力】

とにかく儚げな雰囲気が堪らない一冊!

無垢で人間のことを知ろうとするヒロイン。そんなヒロインを最初は人間扱いしなかった主人公。
だけど時間が経つにつれて徐々にお互いなくてはならない存在になっていく過程が良すぎる!!
特に最後の方の展開なんて…グッとくる感じに加えてニヤニヤが止まらないですわ~。

さらには設定、文章、イラスト、それら全てが滅茶苦茶合っているんですよ!!
全部相乗効果になっていて、とにかく儚げな雰囲気が最高潮!
この雰囲気だけで、この作品を読む価値がある!

とにかく最高の雰囲気とヒロインを味わえる作品。
これはとりあえず読んで損のしない作品だと言い切れるような作品!

単巻なので手に取りやすいとも思います。

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【お勧めライト文芸】『好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く』メディアワークス文庫

三者三葉の恋模様がグッとくる!

【あらすじ】(公式引用

神戸を舞台に描く三姉妹の物語。 
恋は、いつだって、私たちの心をつんとさらっていく。

七年前、年下の男の子に、好きだといわれた。
それから、手も握らせないまま恋人のような関係をずっと続けている。
そして、私はまた、彼とは別の人を好きになる――〈表題作より〉。
好きな人と好きになりたい人が、どうして違うんだろう(長女)。
かっこいいって、卑怯だぁ(次女)。
恋は魔物の巣窟です(三女)。
神戸の街を舞台に、一緒に暮らす三姉妹の恋の、始まりと、真ん中と、終わり。
同じ時間を過ごす三人の恋を、三篇の短編で描く、切なく優しいラブストーリー。恋は、いつだって、私たちの心をつんとさらっていく。

 

【魅力】

三姉妹、それぞれの恋物語を描いた短編集。
まさしく「みんな違ってみんな良い」を体現したような三者三葉の恋模様には心惹かれます。

私が特に好きだったのは長女と次女の話。

ずっと昔に告白された男の子と着かず離れずの距離を保つ長女。
そして長女は別の人を何度も好きになり、何度も男の子に辛い思いをさせる。
だけど紆余曲折を経て、その先にあった恋模様には何故か心に残るものがありました。

どうしようもない駄目男ばかりを好きになってしまう次女。
みんなから男の趣味が悪いと言われ、自分自身でもそんな男のことを好きになりたくはない。
――だけど好きになってしまう。
その彼女が葛藤の末に出した答え。
この答えは本当に良かった! 未だに私の心に残っています。

また、恋に臆病になってしまった三女の話もしっかりと面白かった!
彼女なりの一歩にはグッとくるものがありました。

そして所々で感じられる三姉妹の絆もこの作品の魅力の一つです。

一冊の本で沢山の恋を味わえる作品。
めちゃくちゃお勧めの一冊です!

 

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